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無酸素性エネルギー産生(酸素が無い状況でもATPを合成でき、瞬間的に爆発的なエネルギーを供給できるのは無酸素性エネルギー供給機構によるもの)

2014.10.31 | Category: トレーニング

無酸素性エネルギー産生

 

軽強度の運動であれば、ATPの再合成に必要なエネルギーは、酸素で食物から得たエネルギー源を酸化してまかないます。

 

しかし、呼吸を止めても数十秒の全力疾走が可能にもなり、これは酸素が無い状況でもATPを合成できるからになり、瞬間的に爆発的なエネルギーを供給できるのは無酸素性エネルギー供給機構によるものです。

 

このように無酸素性にATPを再合成できる仕組みには非乳酸性機構と乳酸性機構の2つの機構があります。

 

①非乳酸性機構(ATP-CP系)

 

骨格筋にはATP以外にクレアチンリン酸(creatine phospate:CP)という高エネルギーリン酸化合物があります。

 

その量はATPの約3~5倍になり、ATPが分解されると即座にCPが分解しATPを再合成するエネルギーを供給します。

 

運動開始とともにCPの分解が起こり、数秒でCP量は著しく低下します。

 

6~8秒の全力疾走でまかなわれるエネルギー産生機構になります。

 

 

②乳酸性機構

 

無酸素性に糖(グリコーゲンやグルコース)を分解してATPを再合成する過程を「解糖」といい、糖から数十段階の化学反応を経てATPを再合成するエネルギーを得ます。

 

解糖の最終代謝産物が乳酸であるために乳酸性機構と呼ばれます。

 

身体は食物から摂取した糖(エネルギーが豊富に含まれている)を肝臓と骨格筋にグリコーゲン(グルコースが特殊なつなぎになっている)として貯蔵しています。

 

※血中にはグルコースが存在しますが、これは食物の消化吸収したものと肝臓のグリコーゲンが分解されたものになります。

 

骨格筋は貯蔵しているグリコーゲンや血中のグルコースを利用して無酸素状態でも乳酸性機構により即座にATPを再合成できるので、爆発的なエネルギーを必要とする運動を数十秒間続けることができます。

 

 

 

乳酸性機構は非乳酸性機構よりかなり複雑で、筋収縮でATPが分解すると骨格筋内に貯蔵されているグリコーゲンが分解、また、血中から取り込まれたグルコースがグルコース6リン酸になります。

 

グルコース6リン酸が分解され、ピルビン酸を経て乳酸になる過程でATPの再合成に必要なエネルギーが供給されます。

 

※無酸素性運動ではグリセルアルデヒド-3-リン酸から1,3ビスグリセリン酸に変化するときにNADという補酵素に水素を受け渡す必要があり、解糖系ではピルビン酸にまで分解される過程でATPの再合成が行われますが、、ピルビン酸から乳酸に変化するにはNADHから水素を抜き取りNADに戻さなければ解糖が進まないからになります。

 

グルコース6リン酸からピルビン酸にまで分解される過程で1モルのグルコース6リン酸から3モルのATPが産生されます。

 

※ただし、グルコースはグルコース6リン酸になる過程でATPを消耗するので、1モルのグルコースからは解糖で2モルのATPが産生されます(一方、グリコーゲンはグルコース6リン酸に分解されるときにATPの消耗はないので、3モルのATPが産生されます)。

 

③ピルビン酸

 

400mを全力で走るような激しい運動をすると、乳酸性機構の動員で乳酸が安静時に比べて25倍ほど蓄積します。

 

乳酸が蓄積すると水素イオン(H+)を解離し(乳酸CH3CH(OH)COOH→CH3CH(OH)COO+H+)、この際、水素イオンが過剰に蓄積し、筋肉は酸性に傾きます。

 

※実際に筋内のPHは安静時の7.0から激しい運動時には6.4まで下がります。

 

ホスホフルクトキナーゼ

 

水素イオンは解糖のスピードを制御している酵素(律速酵素)であるホスホフルクトキナーゼ(phosphofructkinase:PFKフルクトース6リン酸からフルクトース1,6リン酸の反応を触媒する)を阻害し、解糖できるエネルギー供給が抑制されてしまいます。

 

 

※水素イオンはさらに筋収縮を直接阻害します(水素イオンは筋小胞体のカルシウム結合能力を増強するために、筋小胞体からCa2+の放出量が減少し、加えてアクチンとミオシンの連結を阻害する)。

 

激しい運動にて蓄積する乳酸そのものが害ではなく、解離する水素イオンによって疲労が起こります。

 

しかし、筋肉内あるいは血中には過剰に水素イオンが蓄積し酸性に傾くのを防ぐ機構があり、それを「緩衝」といいます。

 

血中に存在する重炭酸イオン(HCO3-)は、乳酸から水素イオン(H+)が解離すると次のように反応し、水素イオン濃度を下げます。

 

HCO3+ + H+ → H2O + CO2

 

陸上競技の400m、水泳の100mなどで高いパフォーマンスを発揮できる一流選手は緩衝能力は高いといえます。

引用・索引 スポーツ・運動生理学概説

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