MENU TEL

ホーム > Blog > トレーナー > 酸素摂取能力と経済性(運動の経済性は、同一の仕事に対する酸素摂取量で評価)

ブログ記事

酸素摂取能力と経済性(運動の経済性は、同一の仕事に対する酸素摂取量で評価)

2014.11.15 | Category: トレーナー,ブログ

1.運動の経済性(VO2submax)

 

運動の経済性は、同一の仕事に対する酸素摂取量で評価できます。

 

例えば、同じ体重の2人のランナーが同一スピード走った場合、運動中の酸素摂取量(L/min)が等しければ、運動の経済性は等しく、逆に、同一の仕事の運動をするために必要な酸素摂取量が多いランナーは経済性が低くなります。

 

体重が異なる場合は、体重1kg当たりの酸素摂取量(ml/kg/min)で比較するとよく、同一の仕事を長時間行うようなマラソン競技の場合、ランニングの経済性(running economy)がより少ない酸素摂取量で走ることは、記録を短縮する重用な要素になります。

 

歩行速度と酸素摂取量の関係を見ると、歩行速度の増加に伴い酸素摂取量が増加するだけでなく、逆に非常にゆっくりとしたスピードで歩く場合も酸素摂取量が増加します。

 

すなわち、歩行速度と酸素摂取量の関係はU字曲線を示し、酸素摂取量が最も少ないときの歩行は運動の経済性が高く、その速度を歩行の経済速度といいます。

 

運動の経済性は、対象者が同じ運動を行った場合でも気分や体調など個々人の状態、また温度や湿度の環境条件によって異なり、環境条件をほぼ一定にした場合、最大下運動の酸素摂取量(ml/kg/min)の変動係数は、約4~7%程度になります。

 

暑熱環境では、筋疲労に伴う運動単位の動員の違いや運動フォームの乱れに伴う骨格筋群の機械的効率の低下が影響するします。

 

 

2.最大酸素摂取量(VO2max)

 

最大酸素摂取量がパフォーマンスの決定因子に成り得るかは数多くの研究がなされ、100m、200m、400m、800m、1500m、および5000mのタイムトライアルを実施し、それらの平均スピードと最大酸素摂取量との関連性を見ると、400mまでの平均スピードとの関連性はまったく認められず、800m以上からは有意な負の相関が認められ、距離が伸びるほど相関係数は高くなります。

 

距離が増すほど、あるいは運動距離が長くなるほど有酸素性エネルギー系への依存度が増すためです。

 

したがって、予測因子となりえるためには、その競技が有酸素性エネルギー供給系に依存していることが条件になります。

 

※しかし、高度にトレーニングされたエリートマラソン競技者のみを対象として、最大酸素摂取量と平均スピードとの関連性を検討すると必ずしも、最大酸素摂取量が記録の予測指標にはならず、この点はランニングの経済性の違いが一つの要因になり、同じ最大酸素摂取量を示すランナーでもマラソンの記録は必ずしも一致しないことが数多く報告されています。

 

パフォーマンスの予測因子として、最大酸素摂取量がその候補となりえるもう一つの条件は、あくまでもランニングの経済性や後述する酸素摂取の水準を上回るほどの貢献度を持つ場合になります。

 

 

3.酸素摂取水準(%VO2max)

 

酸素摂取水準とは、運動中の酸素摂取量が最大酸素摂取量の何%に相当するかという指標になります。

 

コスティル(Costill D.L)らは、フルマラソン時の酸素摂取量(%VO2max)が、最大酸素摂取量のおよそ75~80%に相当すると報告しています。

 

マラソンの記録の高いランナーは、高い酸素摂取水準で走る能力を有し、例えば、アメリカのマラソンランナーのサラザール(Salazrl,A)の最大酸素摂取量は70(ml・kg-1・min-1)であり、当時のマラソン記録である2時間8分から推定される酸素摂取水準は86%VO2maxでした。

 

これは、他のエリートマラソンランナー(75~80%VO2max)と比較してかなり高いレベルにあります。

 

後に、マラソンの平均走スピードは、乳酸性作業閾値(lactate threshold:LT)のランニングスピードと高い相関を示すことが報告されており、酸素摂取水準を示す別の指標として乳酸性作業閾値の有効性を示唆しています。

 

乳酸性作業閾値の評価には、疲労困憊に至るまで追い込む必要が無いことから、幅広い年齢層や体力レベルに有用でかつ安全に評価できる指標といえます。

 

引用・索引 スピード・運動生理学概説

 

ページトップ