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前十字靭帯(ACL)損傷と女性選手(解剖学的因子:顆間切痕幅と膝関節の弛緩、ACL伸張強度や月経状態などの成長因子、性ホルモン因子とバイオメカニクス的因子:動作パターン、筋力不均衡、筋活動パターン)

2015.05.19 | Category: アスレティックリハビリテーション

前十字靭帯(ACL)断裂と若年女性選手

前十字靭帯損傷

 

前十字靭帯(ACL)断裂の大多数はスポーツ競技を行っている最中に発生しており、特にサッカー、バスケットボール、フットボールなど、ピボットやカッティング(切り返し)動作が頻繁に行われるスポーツに多くみられます。

 

そしてACL損傷の大多数は他の選手との激しい接触が原因ではなく、減速、加速、踏み込み+カッティング動作、突然の方向転換、ジャンプの着地中などの膝関節に過剰な負荷がかかる動作において発生しています。

女性アスリートと膝関節

X脚と前十字靭帯断裂

 

一般に女子アスリートには、膝関節の外反が起こり着地中の膝関節の屈曲が小さいという傾向が認められ、これがACLに対して前方剪断力を加え負荷を加えます。

 

さらに、膝関節を伸展させてカッティング動作を行うことも剪断力を加えることになります。

 

このため、同競技の男子アスリートと比べて女子アスリートにおけるACL損傷の発生率は高く、また女子アスリートの中でもサッカー選手、バスケットボール選手において高い傾向があります。

 

サッカー選手の前十字靭帯損傷から復帰への条件(内側広筋、外側広筋の機能評価)

ACL損傷危険因子

解剖学的因子としては、顆間切痕幅と膝関節の弛緩が挙げられ、ACL伸張強度や月経状態などの成長因子やホルモン因子(性ホルモン)も主張され、これらの因子は修正することは難しいとされています。

 

一方で、動作パターン、筋力不均衡、筋活動パターンはいずれも適切なトレーニングによって改善できるバイオメカニクス的因子とされており、ACL損傷に対する現状での予防介入は修正可能なバイオメカニクス的因子と神経筋系の制御因子を中心としいことを目的として行います。

 

神経筋トレーニング(γ運動神経機械受容器の閾値を下げることにより、主動筋組織の感度を高め、予測できない力に素早く反応できるようになる)

 

競技における選手の柔軟性の定義【関節可動域、関節弛緩性、筋柔軟性】

 

男女の障害発生率の差

高校生アスリートの全傷害パターンをみると、比較的男子が多くの参加率を占める競技において、男子の傷害発生率が高くなるようになり、フットボール、サッカー、バスケットボール、野球、ソフトボールにおける重度の傷害発生率を検証した研究によると、すべての競技を合算した場合、男子(r=0.45)は女子(r=0.26)よりも重度の傷害の発生率は高くなりました。

 

しかし、同研究においては、競技毎における重度の傷害発生率を男女で比較すると、バスケットボールおよびサッカーにおいては、女子は男子よりも傷害発生率は高いことが示されています。

 

男女の障害発生率の差は、膝関節においても存在し、膝は高校生アスリートにおいて一般的な障害部位になり、外科的対応を要する傷害の大多数は膝関節になります。

 

女子バスケットボールおよび女子サッカー選手は男子と比べて、膝関節の傷害、膝関節の手術、そしてACLの手術が多い傾向にあります。

 

運動生理学観点からの選手の競技復帰を考えたアスレティックリハビリテーション

 

Darrowらの研究

Darrowらは女子バスケットボールおよびサッカー選手は男子よりも膝関節の傷害発生率が高いことを確認し、また女子は男子よりも膝関節における重度の傷害発生率が高く、そしてそのかなりの割合を靭帯の完全断裂が占めることを報告しました。

 

Ingramらの研究

Ingramらは、類似競技における男女の傷害発生率を比較していないものの、女子サッカーおよびバスケットボール選手は膝関節の傷害発生率が最も高く、これに追随するのは本質的にコンタクト競技であるフットボールとレスリングだけであると結論づけています。

 

非接触型メカニズムによって引き起こされる膝関節の傷害は女子の発生率が男子の約2倍になり、膝の再受傷の割合はバスケットボール選手のほうが高く、そして全体と比較すると、女子アスリートは比較可能な男子アスリートよりも再受傷の可能性が高くなりました。

 

ランディングとカッティングの女子アスリートパターンと前十字靭帯損傷(着地中のアライメント不全は、膝関節を過伸展させながら脛骨を内旋させ膝関節の最大屈曲角を10.5°小さくする)

 

前十字靭帯(ACL)損傷と大腿四頭筋とハムストリング(膝関節の屈曲角が0°(完全伸展)~45°で大腿四頭筋が強く収縮する際、ハムストリングの収縮(共収縮)がその強さに見合わない場合、前向きの力が発生しACLの負担が増える)

 

前十字靭帯(ACL)障害予防のためのトレーニングプログラム(不適切な筋の活性化を修正し、着地時にかかる力を減少させ、膝関節の外反モーメントと回旋を減らし、ハムストリングの筋力を増加させることを目的とする)

 

前十字靭帯損傷とレジスタンストレーニング(ACLの歪み{膝関節の外反と股関節の内転を減少}を減少させるハムストリングの共収縮{膝関節の屈曲角を増大させる}が果たす役割を考えると、筋力増大は重要な要素になる)

 

前十字靭帯損傷(ACL)トレーニングプログラム(十分な神経筋の活性化、筋力、膝関節への少ない負荷で着地とカッティングを行うテクニックを身に付けることが障害リスクも低下させる)

引用・索引 Strength and Conditioning Journal Volume35 Number2 pages66-78


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