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ブログ記事

前十字靭帯(ACL)損傷と大腿四頭筋とハムストリング(膝関節の屈曲角が0°(完全伸展)~45°で大腿四頭筋が強く収縮する際、ハムストリングの収縮(共収縮)がその強さに見合わない場合、前向きの力が発生しACLの負担が増える)

2015.05.21 | Category: アスレティックリハビリテーション

大腿四頭筋の筋力とハムストリングの筋力

前十字靭帯と大腿四頭筋とハムストリング

膝関節の安定(受動的:能動的)

受動的安定

膝関節は骨、半月板、靭帯、そして関節包により受動的に安定しています。

 

前十字靭帯(ACL)は主として前後方向の移動、内反・外反モーション、内旋・外旋モーションを調節することにより膝関節を安定させています。

 

能動的安定

能動的に安定させるシステムを構成しているのは筋の収縮であり、これは主として随意的な筋活動により膝関節を安定させています。

 

前十字靭帯(ACL)損傷と女性選手(解剖学的因子:顆間切痕幅と膝関節の弛緩、ACL伸張強度や月経状態などの成長因子、性ホルモン因子とバイオメカニクス的因子:動作パターン、筋力不均衡、筋活動パターン)

大腿四頭筋とハムストリング筋力とACL損傷リスク

女子アスリートの場合、大腿四頭筋とハムストリングの筋力の差異がACLへの負担増大を高めます。

 

膝関節が伸展すると膝に前向きの力がかかりますが、ACLはこの力の調節を担っており、膝関節を安定させて前方への変位を抑止させます。

 

膝関節を受動的に安定させるシステムに加えて、この前方への動きに対する拮抗筋としてハムストリングが機能します。

 

これは、ハムストリングが収縮して膝関節を後方へ引っ張ることによって、膝関節の屈曲角が0°(完全伸展)~45°で大腿四頭筋が強く収縮して、ハムストリングの収縮がその強さに見合わない場合、前向きの力が発生しACLにかなりの負担がかかり、その結果ACLを損傷する可能性があります。

 

ハムストリング損傷の解剖生理学(損傷後は至適筋長が減少し、ピークトルクが非損傷脚よりも大きな膝関節屈曲角で発生する)

 

大腿四頭筋とハムストリングの筋力の差異

女子バスケットボール選手とサッカー選手に対してプレシーズンに動的筋力測定を行い、その後ACLを損傷した選手は、男子と比べてハムストリングの筋力が低下していましたが、大腿四頭筋の筋力は低下していませんでした。

 

つまり、大腿四頭筋の筋力は男子選手と変わらず、一方、ハムストリングの筋力は低下していたため、ハムストリングよりも大腿四頭筋の筋力が高い状態になっていました。

 

この不均衡が、ハムストリングに対する大腿四頭筋の優位を招いてACLに負荷を与え、それがACL損傷の一因になったと考えられます。

 

したがって、大腿四頭筋とハムストリングの両方に負荷をかけ、筋力を向上させるようなトレーニングプログラムを実施することが重要になります。

 

神経筋トレーニング(γ運動神経機械受容器の閾値を下げることにより、主動筋組織の感度を高め、予測できない力に素早く反応できるようになる)

 

筋の共収縮:負荷に対する大腿四頭筋とハムストリングのバランス

大腿四頭筋とハムストリングのバランスのとれた共収縮は、脛骨の前方移動の大きさに影響を及ぼし、前向きの力をもたらす膝関節への負荷を減少させます。

 

Liらの研究者は、検体に対して膝関節の屈曲角0°、15°、30°、60°、90°、120°で大腿四頭筋だけに負荷をかけた場合と、大腿四頭筋とハムストリングの両方に負荷をかけた場合の影響について調査をしました。

 

大腿四頭筋だけに負荷をかけているとき、脛骨の前方移動は完全伸展である0°から30°で増加しましたが、その後、屈曲角が増大するにつれて減少しました。

 

ハムストリング損傷のリハビリテーション(股関節伸展と対側のハムストリング伸張との間に両側性の連結が確認されている為、腰椎-骨盤域における筋の神経筋制御を狙うエクササイズが再発予防に有効)

 

ACLの負担

またACLにかかる力は、大腿四頭筋だけに負荷をかけているときは0°から15°で増加し、その後、屈曲角が増大するにつれて減少しました。

 

一方、大腿四頭筋とハムストリングの両方に負荷をかけたときは、脛骨の前方へ移動は0°から15°を除いたすべての屈曲角で、大腿四頭筋だけに負荷をかけた場合よりも有意に減少しました。

 

またACLにかかる力は、大腿四頭筋とハムストリングの両方にかけている場合は、大腿四頭筋だけに負荷をかけた場合よりも15°、30°、60°で有意に減少しました。

 

大腿四頭筋だけに負荷をかけた場合に、最も大きな力が生じた膝関節の屈曲角は15°で、大腿四頭筋とハムストリングの両方に負荷をかけるとACLにかかる力が23%低下しました。

 

また膝関節が完全に伸展している際は、大腿四頭筋だけに負荷をかけても、大腿四頭筋とハムストリングの両方に負荷をかけても、ACLにかかる力には有意差はみられませんでした。

 

これは、アスリートがこの姿勢を可能な限り避けるべきであることを示唆しており、大腿四頭筋が力強く収縮する動作においては、ハムストリングが同時に収縮することによって、ACLの歪みを減らしていることを意味しています。

 

ランディングとカッティングの女子アスリートパターンと前十字靭帯損傷(着地中のアライメント不全は、膝関節過伸展、脛骨内旋が起こり、膝関節最大屈曲角が10.5°減少する)

 

筋動員のタイミングと筋の活性化

女子アスリートはハムストリングよりも大腿四頭筋を活動させがちで、女子の大腿四頭筋はハムストリングよりも早くピークトルクに達する傾向にあります。

 

ハムストリングの活動は膝関節の過伸展を防ぎますが、その能力は発揮できる力の量、すなわち筋力の大きさに依存しています。

 

ハムストリングの筋力向上エクササイズによって構成されているトレーニングプログラムを実施する習慣のないアスリートは、ハムストリングの拮抗筋としての共収縮パターンがきわめて低いです。

 

しかし、筋力向上トレーニングを実施すれば、ハムストリングの拮抗筋としての共収縮パターンが有意に変化することが示されています。

 

この調査結果の存在は、女子アスリートがハムストリングと大腿四頭筋の不均衡を最小化するために、両者を等しく訓練し、強化することを目的としたトレーニングプログラムに参加する必要性を裏付けています。

 

前十字靭帯(ACL)障害予防のためのトレーニングプログラム(不適切な筋の活性化を修正し、着地時にかかる力を減少させ、膝関節の外反モーメントと回旋を減らし、ハムストリングの筋力を増加させることを目的とする)

 

筋力と筋肥大・筋持久力を向上させる目的別のサイズの原理(運動神経と運動単位)

 

前十字靭帯損傷とレジスタンストレーニング(ACLの歪み{膝関節の外反と股関節の内転を減少}を減少させるハムストリングの共収縮{膝関節の屈曲角を増大させる}が果たす役割を考えると、筋力増大は重要な要素になる)

 

前十字靭帯損傷(ACL)と神経筋トレーニング(着地中の膝関節の屈曲角を増大させ、膝関節屈曲モーメント、外反モーメントを減少、膝関節の最大外反角を減少させる)

引用・索引 Strength & Conditioning Journal Volume35 Number2 pages66-78


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