MENU TEL

ホーム > Blog > 投球障害治療 > 野球肩のリハビリテーションの基本原則(ローテーターカフの筋力とバランス、GH関節の不安定性は肩甲骨のポジショニングと肩甲上腕リズムに影響する)

ブログ記事

野球肩のリハビリテーションの基本原則(ローテーターカフの筋力とバランス、GH関節の不安定性は肩甲骨のポジショニングと肩甲上腕リズムに影響する)

2015.06.20 | Category: 投球障害治療

肩のリハビリテーションの基本原則

肩関節複合体

肩関節は非常に複雑な領域であり、この領域においては、肩甲上腕関節(GH)、胸鎖関節、肩鎖関節、および肩甲胸郭関節など多くの関節が互いに依存しあって存在し、これらは肩関節複合体を構成する要素となります。

 

これらを構成する関節のいずれかひとつが動くと、ひとつかそれ以上の他の関節も同時に動くため、ひとつの関節が受傷すると、多くの場合、他の関節の運動学的要素も変化し、機能的動作における筋の代償作用が生じます。

 

インピンジメント(野球肩)を抑えるトレーニングとは(棘上筋を効果的に鍛え、肩峰下腔の狭小化を抑え機械的圧迫の増大とインピンジメントの助長を防ぐ)

ローテーターカフの筋力

ローテーターカフ(回旋筋腱板)は、GH関節の動的安定化を担う筋群になります。

 

腕の自動挙上および外転時に、これらの筋は共同して上腕骨頭を軽く下制(引き下げ)させながら関節窩に対して軸圧縮し、これは主に三角筋の力に対抗し、動作中に上腕骨頭を関節窩中に留める働きをします。

 

ローテーターカフの筋力低下、および内旋筋と外旋筋のアンバランスは、インピンジメント、ローテーターカフの疾患、および不安定性を生じた人に一貫してみられ、特にローテーターカフのアンバランスは、投球動作を行うアスリートにみられます。

 

ほとんどの傷害はローテーターカフ全体の筋力低下をもたらすため、傷害が回復するかどうかは、ローテーターカフ上部(棘上筋)および後部(棘下筋、小円筋)の筋力向上と、動的な筋バランスの修復にかかっています。

 

ローテーターカフの筋力とバランスに関するこれらの原則は従来、GH関節の不安定性からインピンジメントおよびローテーターカフの疾患まで様々な肩の傷害や手術に伴うリハビリの成否に関与します。

 

棘上筋トレーニングを選択するポイント(棘上筋の活動に比べ三角筋の活動量が過剰になると上腕骨骨頭の上方移動と肩峰下腔のインピンジメント(野球肩)が生じる)

 

肩関節の安定性とリズム

肩関節複合体において重点を置くもうひとつの解剖学的領域は、肩甲胸郭関節になります。

 

肩甲胸郭関節は、胸郭上での肩甲骨の大きな動作を可能にしますが、靭帯や関節包に支えられていないために、この関節が肩を最適に機能させる能力は、筋の安定性と制御に大きく依存しています。

 

動作中の肩甲骨のポジションは複雑で、微妙な筋力バランスと協調的な可動性を必要とし、正常な肩甲上腕リズムにおいては、挙上時にGH関節と肩甲胸郭関節が2:1の比率で動作するとされています。

 

肩甲上腕リズムの変化、および静止時における肩甲骨の外転位は、多くの肩疾患を引き起こし、これらの問題は関節適合性の低下を招き、上腕骨頭を関節の中心からずらして関節包にストレスをかけ、GH関節の不安定性に寄与します。

 

また、このようなポジションは、投球動作を行うアスリートの上方関節唇損傷にも関連づけられ、また肩甲骨のポジショニングに関連づけられている肩疾患の中でも特に多発しているのはインピンジメント症候群になります。

 

インピンジメント症候群(肩峰と上腕骨大結節の間に軟部組織が挟み込まれること)は、多くの場合、肩甲骨の過度の外転位や、筋のアンバランスによって挙上動作における肩甲上腕リズムが維持されないことにより、肩峰下腔が狭くなることで生じます。

 

肩甲胸郭関節は多くのGH関節の疾患に関与しているために、肩甲骨のポジショニングと肩甲上腕リズムは、しばしば肩疾患のリハビリプログラムの焦点となり、肩甲胸郭関節の筋群を強化することは、肩関節複合体全体の機能的安定化とバランスを向上させます。

 

特に重点を置く項目は、外転、内転動作になり、上肢の動作時に、肩甲骨を内転位にして動的安定化を行うと、肩甲骨に付着する筋群の筋活動が増大することが明らかになっています。

 

肩疾患のリハビリプログラムは、肩甲骨を内転、外旋、および後傾させたポジションで安定させる筋群、および肩甲骨を上方回旋させる筋群に重点を置くことが多く、前鋸筋、僧帽筋中部、および僧帽筋下部における筋力低下と力発揮のタイミングの変化はオーバーヘッド動作における僧帽筋上部の活動増大につながることが一部の研究によって明らかになっています。

 

リハビリのガイドラインでは、僧帽筋上部の活動を促進するポジションやエクササイズ、姿勢を避け、前鋸筋、僧帽筋中部、および僧帽筋下部の筋活動を増大させることに重点を置いています。

 

大学野球選手のトレーニング(複合ピリオダイゼーションを利用し筋サイズ、筋力、パワーを向上させる)

 

関節の可動性と柔軟性

GH関節の可動性は、肩の機能向上と傷害からの回復促進に関与するとされています。

 

肩の傷害では、ほぼすべてのケースにおいて関節可動域(ROM)に制限が生じることが予想され、肩の損傷後、正常な(受傷前)ROMを回復させることは、通常、リハビリ専門職の目標のひとつになります。

 

受傷前のROMへの回復は、肩手術後においても疼痛レベルの低下および、機能の改善と相関しています。

 

ROMの低下は、外科手術、筋の代償作用、靭帯の拘縮また断裂、疼痛などが原因となり起こります。

 

少年野球選手に対するメディカルチェックの目的(野球肩、野球肘早期発見)

 

肩の内旋

肩の可動性において焦点となるのが、内旋のROMであり、ROMの低下はインピンジメント症候群および上方関節唇損傷の発症リスク増大に関連しているとされています。

 

内旋ROMが低下した状態は「肩甲上腕関節内旋制限(GIRD)」と呼ばれ、通常はローテーターカフ後部における筋の緊張と、後下関節靭帯の緊張によって生じます。

 

また内旋ROMの低下は上腕骨の後捻によっても生じ、このようなアライメントの適応は、本質的に骨格上のものであり、投球動作を行うアスリートによくみられます。

 

これによって、外旋ROMの増大と内旋ROMの低下が生じ、その結果、軟部組織の圧迫また骨の適応により、上腕骨のアライメント異常が起こり、そのため肩峰下および烏口肩峰の領域に加わる圧縮力が増大する現象が、特にオーバーヘッド動作を行うアスリートにみられます。

 

投球障害予防トレーニングプログラムを選定する上で考慮すべきこと(片側性動作とオーバーヘッド動作)

 

ローテーターカフの疾患(肩甲骨外転を伴うGH関節の最大外旋位はGH関節の上後部における棘下筋と棘上筋の圧迫により内部インピンジメントを引き起こす)

 

パワーはオーバーハンドスローイングアスリートにおいて最も向上させたい変数であり、この変数は投球速度につながる

 

サイドスローと野球肘リスク(サイドスローのバイオメカニクスは、肩外転の減少と前額面における同側への体幹側屈を伴い、肘の内反負荷を増大させる)

引用・索引 Strength & Conditioning Journal Volume33 Number3 pages45-55


ページトップ