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骨格筋低周波電気刺激法:EMSによる運動療法の可能性(電気刺激は低い運動強度で解糖系エネルギー利用の高い速筋線維の動員を可能にし、筋エネルギー消費、グリコーゲン代謝、糖代謝を活性化できる有用な手段である)

2015.06.23 | Category: トレーニング

骨格筋低周波刺激法による運動療法

骨格筋低周波刺激法による運動療法

骨格筋への低周波刺激法

超高齢化社会を迎えた今日、寝たきりの患者や慢性的な運動不足者、体力の低下した人々、あるいは過度の肥満や整形外科的疾患などのために、有酸素運動を行えない人々が多数存在します。

 

さらに、糖尿病合併症や心血管系合併症などの臓器障害により運動制限を必要とする患者も多く認められます。

 

このような人々は、身体の不活動がもたらす不利益を受けなければならない状況にあり、有酸素運動やレジスタンストレーニングなどの代償となる運動方法の開発が望まれていました。

 

近年、骨格筋低周波刺激法:EMS(体表に貼り付けた表面電極を介して骨格筋に電気刺激を加え、筋収縮を誘発させる)を利用して、糖・エネルギー代謝活性化に及ぼす効果について検討されています。

 

EMSトレーニングが筋力に及ぼす効果(筋力の増加を媒介するものは、主として筋の活性化増大などの神経系の適応)

EMSと代謝疾患(糖尿病)

骨格筋電気刺激による代謝研究では、正常血糖高インスリンクランプ法、呼気ガス分析の同時解析を行い、骨格筋の糖・エネルギー代謝促進効果を分析した結果、電気刺激中に酸素消費量は安静時の約2倍に上昇し、体内のエネルギー消費(20分刺激で約50Kcal)が亢進することが明らかにされました。

 

内因性糖放出が抑制された生理的条件下において、全身糖取り込み率は電気刺激によって有意に上昇するとともに、その亢進が刺激終了後90分間持続することも見出しました。

 

この新知見は、糖尿病の予防、治療に不可欠な血糖コントロールに対する骨格筋電気刺激の有意性を示唆しています。

 

さらに、骨格筋電気刺激法による糖・エネルギー代謝特性に及ぼす効果を同一酸素摂取量での自転車運動と比較した結果、電気刺激では血中乳酸濃度・呼吸商(ある時間において生体内で栄養素が分解されてエネルギーに変換するまでの酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の体積比のこと)の有意な上昇により、筋グリコーゲン消費亢進が認められました。

 

しかし、この結果は同等の自転車運動では認められず、また、電気刺激終了後の糖取り込み率は自転車運動よりも有意に高くなりました。

 

筋肉での糖質の合成(血糖値が通常レベル以下だと取り込まれない為、インスリンが膵臓から血液中に出ることで筋肉はグルコースを取り込める)

 

骨格筋電気刺激の臨床応用:整形外科疾患

前十字靭帯再建術後の患者の筋萎縮の予防に対するEMSの効果も検証され、この研究では、前十字靭帯断裂の20名の患者を無作為に2群に分け、手術後2日目から4週間、コントロール群は通常のリハビリテーションプログラムのみに参加し、筋電気刺激群はリハビリテーションとEMSプログラム(20Hz、5秒刺激、2秒休止、20分)に参加しました。

 

その結果、従来のトレーニングのみを行うコントロール群よりも術後早期の筋萎縮および筋力低下を有意に抑制する効果を認めました。

 

また、術後3ヶ月後の中期的な経過においても術後早期に電気刺激トレーニングを導入したほうが膝伸展筋力の回復率は高くなりました。

 

前十字靭帯損傷(ACL)トレーニングプログラム(十分な神経筋の活性化、筋力、膝関節への少ない負荷で着地とカッティングを行うテクニックを身に付けることが障害リスクも低下させる)

 

随意運動と電気刺激による運動単位の動員に違い

通常の随意運動時における運動単位の動員様式は、収縮張力が低く、疲労しにくい筋線維を支配している遅筋線維から順次動員されます。

 

対照的に、電気刺激では太い神経線維で支配される速筋線維から動員が始まります

 

人の大腿四頭筋に電気刺激を誘発させた場合、刺激後のグリコーゲン枯渇は速筋線維で著しく高いことや解糖系によるエネルギー利用率が遅筋線維の約2倍も高いことが報告されており、電気刺激による選択的な速筋線維の動員によって随意運動とは異なるエネルギー代謝特性の存在が示唆されています。

 

これらの一連の研究結果から、電気刺激は低い運動強度で解糖系エネルギー利用の高い速筋線維の動員を可能にし、筋エネルギー消費、グリコーゲン代謝、糖代謝を活性化できる有用な手段であることが明らかにされ、運動が制限される人々などに代謝改善効果を示されており、介護予防、治療医学の観点からも今後の研究が期待されています。

 

EMSトレーニングの生理学的側面(大きい軸索は電気刺激により興奮しやすく、活性化の順序が随意収縮とは異なりEMSは比較的低いレベルで大きい運動単位を活性化する)

 

糖尿病を有するアスリートに対する栄養指針(有酸素性トレーニングに先立ちレジスタンストレーニングを実施することで、運動による血糖低下を抑制、運動誘発性の低血糖症状はほとんど引き起こされない)

 

EMSトレーニングが競技パフォーマンスに及ぼす効果(最大筋力、無酸素性発揮パワー:垂直跳びとスプリント能力の有意な向上が認められた)

 

MSトレーニングと競技特異的トレーニングの併用(電流の「強度(ミリアンペア)」とそれによって「引き起こされる力(%最大随意収縮)」は強い相関関係がある)

引用・索引 Irrcher I , Ljubicic V,Hood DA :Interactions Between ROS and AMP kinase activity in the regulation of PGc-1a Transcription in skeletal muscle cells .Am J Physiol Cell Rhysiol296:C116-C123.2009


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