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2014 3月の記事一覧

筋力増強運動の物理学的・生理学的観点の強度指標

2014.03.30 | Category: トレーニング

筋力増強運動の物理・生理的観点

筋肉 物理

物理的強度

筋力増強運動における強度指標の代表は、持ち上げる重りの重量になります。

 

単位は「kg」が一般的で、米国から輸入製品の場合にはポンド「1bs」を用いることもあります。

 

1[kg]=2.2[1bs]

1[1bs]=0.454[kg]

 

膝関節伸展や肘関節屈曲といった単関節運動で発揮される評定する場合には、その回転運動のトルクを評価することもあります。

 

トルクとは「長さ」×「力」として定量されるもので、測定箇所と回転軸との長さとそこに作用する力とを掛け合わせることに評定されます。

 

単関節運動のトルクは、その主働筋との発揮張力と概ね対応すると考えています。

 

※トルクの単位は[Nm]あるいは[ft・1bs]です。

1[Nm]=1.356[ft・1bs]

1[ft・1bs]=0.737[Nm]

 

上記のほかに、挙上できる回数によって負荷強度を評定する方法もあり、その単位は[RM](Repetition Maximum)であり、筋力トレーニングの強度の目安を与えるために利用されます。

 

※1回だけ持ち上げられる最大重量が1RMであり、10回持ち上げれれる最大重量が10RMとなります。

重量が軽くなるほど挙上できる回数は増えるので負荷強度(重量)とRM値とは逆比例関係にあります。

 

トレーニング目標 目標レップ数 セット数 負荷(%RM)
筋持久力 ≧12 2~3 ≦67
筋肥大 6~12 3~6 67~85
筋力 ≦6 2~6 ≧85

 

生理的強度

筋の発揮張力と筋放電量はおおむね比例関係にあるので、筋放電量を量定することによって当該筋の負荷強度を評価できることができます。

※一般の運動処方で利用されることはあまりありません。

引用・索引 運動療法ガイド

 

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無酸素性トレーニング時のエネルギー供給機構(ATP-PCr・速い解糖系)

2014.03.29 | Category: アスレティックリハビリテーション,トレーニング,ブログ

無酸素性トレーニングの種類

 

無酸素性エネルギーは疲労困憊にいたる供給時間の短いホスファゲン系(ATP-PCr系)と比較的長い供給時間の長く速い解糖系(乳酸系)にわかれます。

 

①フォスファゲン系(ATP-PCr系)

ホスファゲン

体内にあるATPの総量は約85gと推定されていますが、これは高強度のエクササイズを最大努力で継続すれば数秒で枯渇してしまいます。

 

このATPを再合成するエネルギー代謝経路のうち、最も供給スピードの速いのがフォスファゲン系(ATP-PCr:PCr=クレアチンリン酸)になります。

 

クレアチンリン酸はATP同様に高エネルギーリン酸化合物になり、クレアチンキナーゼ(酵素)によりクレアチンとリン酸に分解され、この分解反応に伴い高エネルギーを放出し、ATPの再合成に利用されます。

 

※細胞内のクレアチンリン酸量はATPの約3~5倍と言われていますが、これでも5~10倍の高強度のエクササイズで使い果たしてしまいます。このため、フォスファゲン系のエネルギー供給経路が主に働きをもつ時間帯は50mや100mのスプリントなどの5~10秒位の短時間、高強度の身体活動や比較的強度の高いエクササイズの運動開始のエネルギー供給経路として非常に重要です。

 

②速い解糖系(グリコリシス・乳酸)

 

フォスファゲン系を引き継ぐ形でエネルギー供給の割合が高まるのが、速い解糖系(乳酸系)になります。

 

これは血中グルコースや筋グリコーゲンなどの炭水化物を分解する過程で得られるエネルギーをATP再合成に利用するシステムになります。

グルコースの分解には「速い解糖系」「遅い解糖系」があります。

 

解糖系

a)速い解糖系

 

グルコースを変換する一連の反応過程で生じたピルビン酸を無酸素的に分解する解糖系(グリコリシス)。

 

※最終過程で乳酸を産生することから乳酸系とも言われます。

 

b)遅い解糖系

 

ピルビン酸をミトコンドリアに輸送して有酸素的に変換する過程で得られるエネルギーを利用してATPを再合成する解糖系(有酸素的解糖系)。

※遅い解糖系は有酸素性代謝機構になります。

 

③フォスフォルクトキナーゼ(PFK)

 

筋細胞内のグルコースはフォスフォルクトキナーゼ(PFK)と呼ばれる酵素により触媒され最終的に2つのピルビン酸を生成します。

 

ピルビン酸はさらに無酸素的に分解され乳酸を生成します。

 

この一連の反応過程で得られるエネルギーによりATPが再合成されます。

 

※最終産物である乳酸の生成スピードがその除去能力を上回れば組織内の乳酸濃度が上昇します。

 

乳酸濃度の上昇は筋組織のPhを低下させ、各酵素活性を阻害するためにエネルギー供給能力と筋収縮力を低下させます。

 

フォスフォルクトキナーゼは解糖系代謝反応を高める働きを持っていますが、フォスファゲン系の代謝が、高まり筋内ADP,AMPの濃度が高くなるとより活性化され、逆に筋内のATP濃度が十分に高いとフォスフォルクトキナーゼ活性は低下し、有酸素系の代謝機構のATP生成が増加します。

引用・索引 ストレングス&コンディショニングⅠ理論編

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エネルギー供給機構の糖質・脂質・タンパク質の生理学(スポーツ栄養学)

2014.03.28 | Category: トレーニング

エネルギー燃料としての栄養素

運動とエネルギー

糖質(炭水化物)

糖質は身体の中では血中グルコース(血糖)、肝グリコーゲン、筋グリコーゲンの形で存在しています。

 

身体含有量は血中グルコースが約5g、肝グリコーゲンが約70~100g、筋グリコーゲンが300~400gになります。

※糖質は約4kcalのエネルギーに相当します。

 

運動の初期や高強度の運動時には筋グリコーゲンが利用されますが、無機的解糖のために乳酸が産生され、この乳酸は血中に逸脱し肝臓に運ばれてグルコースに再合成され、エネルギーとして利用されます。

 

また、乳酸は筋肉中のミトコンドリアに運ばれて有酸素的なエネルギー源としても利用されます。

※長時間の運動の場合には筋グリコーゲンの減少と血中グルコース濃度も減少します。

 

(血中グルコース濃度は空腹時に80~100mg/d㍑に調整されていますが、運動により血中グルコース濃度が著しく低下すると低血糖反射が起こる可能性があります。これは脳・神経系はグルコースのみをエネルギー源としているために、血中グルコース濃度が低下すると肝グリコーゲンが動員され血糖値を一定に保っています。)

 

脂質

脂質は食物として摂取される他に、肝臓で過剰に摂取された糖質から合成されます。

※脂質はエネルギー効率が高く1gで9kcalです。

 

身体と食物の中で見ることができる脂質はトリグリセリド(中性脂肪)、ステロール、リン脂質になります。

※中性脂肪は食物の95%を占め身体の中でもこの型で蓄えられます。

 

持続的な運動では脂質は糖質と共に運動のためのエネルギー供給源として利用されますが、運動時間が長くなれば燃料源の主役は脂質へと変わります。

 

中程度の運動では脂肪組織の中性脂肪は分解されて遊離脂肪酸(FFA)となり、FFAが筋肉に送られATP供給の主な燃料源として利用されます。

※実施する運動の強度、時間、により、どちらの栄養素が率先して利用されるかが決まります。

 

高強度・短時間の運動=糖質

低強度・長時間の運動=脂質

 

タンパク質

タンパク質は、胃や小腸の消化酵素の働きでポリペプチドとアミノ酸に分解されます。

 

アミノ酸は小腸で吸収され、門脈をへて肝臓へ運ばれます。

 

肝臓に運ばれたアミノ酸は代謝され血漿タンパクなどの合成、筋肉や消化管などの構成成分となります。

※さらに、酵素や抗体の形成、酸塩基平衡、血液凝固、血中イオンや酸素の運搬などの役割を持っています。

 

タンパク質は筋肉などの身体構成成分として利用され、運動のエネルギー源として使われることはほとんどありませんが、飢餓などの特定条件ではエネルギー源としての役割を果たします。

引用・索引 ストレングス&コンディショニングⅠ理論編

有酸素性トレーニングの運動強度とは(物理学的観点と生理学的観点)

2014.03.27 | Category: トレーニング

運動強度の分類

運動強度

運動の強度を表す変量としてさまざまなものがありますが、物理学的に定義されるものを「物理的強度」生理学的観点から定義されるものを生理的強度と呼び、客観的な基準にとらわれず運動者実践者の主観に委ねる評定を「主観的強度と言います。

 

物理的強度

運動の強度をエネルギー論的な観点からとらえる時に、もっとも適当な変量は「仕事率(WR)」になります。

 

これは「パワー」とも呼ばれますが単位表記方式として代表的なのは「W(ワット)」になります。

 

※自転車エルゴメーターの表記法として「kpw/分」がありますが、量単位の相関関係は下記のようなものになります。

 

1W=6kpm/分

 

ウォーキングやランニングなど移動運動の強度を表す為には「仕事率」より「速度(V)」の方がわかりやすく、その際は「m/分(分速)」が標準的で、場合によっては「km/時(時速)」が用いられることもあります。

 

1m/s=60m/分

1m/s=3.6km/時

 

生理的強度

生理的強度の代表的変量は「酸素摂取量(VO2)」で、これは身体内に取り込まれ(消費)た酸素の量を意味し、単位表記法として単位時間あたりの酸素摂取量を表す「ℓ/分」と体重1kgあたりに換算した値「mℓ/分/kg」さらに安静時の酸素摂取量を表す「METS」の3種類があります。

 

METSに関しては個々の安静時代謝から割り出して評価することはまれで実際には「体重あたりVO2」として用いられることが多く、その関係は下記の通りになります。

 

1METS=3.5mℓ/分/kg

 

VO2は身体内でのエネルギー代謝の結果であるから、一定時間内に摂取された酸素の総量は、その間に要したエネルギー消費量を反映します。

 

運動中に発生した乳酸は、血液に放出され処理され、したがって血中乳酸濃度は、乳酸系代謝が起こっているかの目安となります。

 

比例的な関係とはいえないものの血中乳酸濃度も運動強度の目安にもなり、運動強度が低ければ乳酸が産生されませんが、あるレベルを超えると血中乳酸濃度は急激に増大します(乳酸閾値)。

 

主観的強度

運動を行うと動悸(脈)が高まり、息(呼吸)が荒くなり、このような変化は、心拍数あるいは換気量の変化として生理学的に数量化できますが、運動実施者本人が自覚できる指標が必要となります。

 

本人の自覚を直接的に数量化する指標が「主観的運動強度(RPE)」になります。

 

代表的な指標としてボルグの15段階スケール、カテゴリー比に基づくCR-10スケールがあります。

引用・索引 運動療法ガイド

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レジスタンストレーニングの障害予防・機能解剖学的観点(反復回数8~12回のトレーニングを行う方が結合組織の大きさ、太さ、強度を増大させる)

2014.03.26 | Category: アスレティックリハビリテーション

安全なリフティング

レジスタンストレーニング

障害を起こしやすい姿勢

レジスタンストレーニングの初心者が最初に最も障害されるおそれのある部位は腰部・脊椎になります。

 

とくに、腰椎(L4-5)または仙椎(L5-S1)の椎間板ヘルニアが多く見られます。

 

通常、胸椎部が背側、腰背部は前部にカーブを描く(前弯)のS字型になり、この状態では椎間板は扁平な形ですが、腰部が丸くなると椎間板を押し潰す力が働きます。

 

したがって、腰背部の前弯を保ったまま姿勢を保持することが椎間板への圧力を減らす意味でも重要になります。

 

※バーベルを保持するために体幹部が前傾すると、脊柱とバーベルの距離が増して椎間板を軸とするトルクが増大するため、脊柱起立筋がバーベルの10倍以上の張力を発揮しないといけないため(脊柱起立筋のモーメントアームが短いため(5cm))、その圧力が椎間板にも働く為になります。

 

ハムストリング損傷のリハビリテーション(股関節伸展と対側のハムストリング伸張との間に両側性の連結が確認されている為、腰椎-骨盤域における筋の神経筋制御を狙うエクササイズが再発予防に有効)

(さらに…)

運動と酸素の生理学的指標(無酸素性作業閾値と乳酸性作業閾値)

2014.03.25 | Category: トレーニング

運動と酸素の生理学的指標

運動と酸素

酸素需要量

身体で消費される酸素の量は運動強度を示すものでこれを、酸素消費量(oxygen Consumption)といいます。

 

酸素消費量は内呼吸で取り入れた酸素量を指し、一般的に人は基礎代謝として1分間に200~300mlの酸素を摂取しています。

 

そして、運動などで酸素の需要が高まると呼吸・循環器系が応答し運動に見合った量の酸素を身体に取り入れます(酸素需要量)。

 

運動直後には呼吸機能が直ちに応答できずに酸素を借りた状態で運動を行うことになり酸素不足が生じることになり、この状態を酸素借といい、運動強度が高くなるほどこの酸素借は大きくなります(高強度、長時間の運動では借と負債が等しくならず、酸素負債は運動後過剰酸素消費:EPOCと呼びます)。

 

運動強度が低い場合は酸素不足は無いので運動開始数分で酸素需要量と酸素摂取量は等しく長時間の運動が可能となり、この等しい状態を定常状態といいます。

 

酸素摂取量

体内に取り込む酸素の量を酸素摂取量(oxygen Iintake)といい、通常1分間に摂取できる酸素の最大値を最大酸素摂取量(Maximum oxygen Intake:VO2max)といい、有酸素性作業能力の指標として用います。

 

一般男子の最大酸素摂取量は毎分当たり平均2.5~3㍑、女子で1.6~2㍑程度で、トップアスリートで理論的な最大値の5㍑が報告されています。

 

※最大酸素摂取量は一般に身体の大きい方が高い値を示します。

 

酸素は筋で消費されるので、筋肉量当たりで比較するのが望ましいが、簡便性を考えて体重1kg当たりで個人や性差を比較することが多く、日本人一般男子の体重1kg当たりの酸素摂取量は35~45ml/kg/min、女子で30~40ml/kg/minになります。

 

換気量

運動時には一回換気量(呼吸の周期毎に吸入、呼出される空気の量)と呼吸数が増加するためその量も多くなります。

 

運動時の一回換気量は、運動強度に比例して増加していきますが、ある強度で頭打ちが起こりますが、肺換気量はそのまま増加していきます。

 

散歩では約15㍑/min、速歩では30㍑/min、ジョギングでは40~50㍑/min、となり高強度運動時には一般人で90~120㍑/min、運動選手では150~200㍑/minにも達することがあります。

 

無酸素性作業閾値(Anaerobic Threshold:AT)

運動強度を徐々に増加させていくと、無酸素性の代謝亢進により乳酸が多量に生成され、それに伴って血中PHの酸性化が進み、ガス交換の変化が著しく生じる運動強度や酸素摂取量を無酸素性作業閾値といいます。

 

※近年このガス交換と体内代謝関係について一致しないとの指摘がされATより乳酸性作業閾値(Lactate Threshold:LT)、換気性閾値(Ventilatory Threshold:VT)、という言葉が使われています。

 

血中乳酸値が4mmol/㍑に達する運動強度を、乳酸蓄積開始点(Onset of Blood Lactate Accumulation:OBLA)として、陸上長距離選手、水泳選手における目標スピード設定に利用されています。

引用・索引 ストレングス&コンディショニングⅠ理論編

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トレーニングの運動刺激による結合組織への生理学的効果

2014.03.24 | Category: アスレティックリハビリテーション

トレーニングの運動刺激の生理学的効果

運動

結合組織(connective tissue)とは

 

結合組織(connective tissue)とは広義には間葉組織に由来する様々な組織をいい、組織同士を連結し、他の組織や器官の間を埋め支持する役目を持つ組織を総称します(靭帯、脂肪組織、軟骨、骨まで含まれる)。

 

狭義には疎性結合組織(コラーゲン線維など)を本来の結合組織とし、全身に広く分布します。

 

緻密結合組織

 

今回扱う結合組織とは狭義の結合組織の緻密結合組織にあたる筋膜や腱のことになります。

 

筋膜や腱などの結合組織は運動負荷により強度を増し、高強度のトレーニングは膠原線維の増加を促し、筋肥大に伴い筋膜、腱ともに強化されます。

 

緻密結合組織は膠原線維が多く基質が少ない組織で、膠原線維が不規則に並んでいるものを不規則性緻密結合組織といい、真皮が代表的な例となります。

 

膠原線維が規則的に並んでいるものを規則性緻密結合組織といい、腱、筋膜が代表的な例となります。

 

膠原線維

 

膠原線維とは260~280nmのトロポコラーゲン分子がつながったものが束になって形成される線維で、直径が約40~100nm程あり、特徴的な横縞を持っています。

 

物理的に張力に対して強く、約500kg/c㎡の力に耐えます。

 

膠原線維はグリシンやプロリン等のアミノ酸を主成分とし、これらアミノ酸が細胞外に分泌されトロポコラーゲン分子になり、これが重合し膠原線維となります。

 

筋膜・腱・靭帯

 

筋膜や腱は筋繊維が発揮した張力を骨に伝える働きを担い、靭帯は関節で骨と骨とを連結させ、支持性を与えると同時に起動を誘導します。

 

腱(tendon)は膠原線維の束の間に線維細胞が縦に並んだ構造をし、腱内の線維細胞は腱細胞(または翼細胞)と呼ばれます。

 

腱組織自体の再生能について、近年では腱組織にも再生能があるとさるようになり、その再生には身体的活動に伴う力学的ストレスが有効であり、その程度は運動刺激により、コラーゲン線維の微小断裂が生じ、修復過程で再生、増強されます。

 

オーバーユースの際は再生、増強される前に刺激が加わり、微小断裂が重なり、慢性の炎症、組織の瘢痕化、弱化を引き起こします。

 

トレーニングの生理学的適応

 

運動刺激による成長ホルモン、テストステロンなどのアナボリックホルモンは成長因子(insulinlike Growth Factor:IGF-Ⅰ)の分泌を促し結合組織の適応を促進させると考えられています。

 

有酸素性トレーニングは膠原線維の代謝を亢進させ、高強度レジスタンストレーニングは筋肥大に伴い、筋膜や腱などの結合組織の発達を促し、以下の強化や改善も得られると考えられています。

 

・腱(靭帯)と骨表面の接合部位

・腱あるいは靭帯の本体内部

・骨格筋内の筋膜の網状構造

・膠原線維の直径の増大

・膠原線維内の架橋結合の増加

・膠原線維数の増加

・膠原線維密度の増加

 

長期間の運動により、腱骨移行部の強度は高まり、破断部位が腱実質へ変化するとされ、高強度の運動負荷による筋肥大に伴い、筋内の結合組織に含まれる線維芽細胞の増加、大型化および活発化が起こり、肥大する筋の筋膜に十分な量の膠原線維が提供されます。

引用・索引 ストレングス&コンディショニング1 理論編

リコンディショニング時の関節可動域運動(ROM運動)の際に必要な病態生理と運動学の理解の重要性

2014.03.23 | Category: アスレティックリハビリテーション,ブログ

リコンディショニング時のROMの病態生理と運動学

可動域訓練

関節可動域運動(ROM運動)

 

関節可動域を維持改善する目的で実施される運動をROM運動、伸張運動(矯正運動)といいます。

 

とくに、他動的運動では組織の過伸展(over stretch)にならないように注意することと下記の項目が重要になります。

 

①運動学等の基礎知識に基づいて行う。

②生理的ROMの範囲内で行う。

③痛みのある場合、痛みの軽減を優先しその可動域の範囲を考慮する。

④筋の走行を考慮し関連ある関節を固定し、それを優先し治療する。

 

各関節における運動学的特記点

肩関節

肩甲上腕関節を中心とする肩周辺機構を理解することが重要。

肩甲上腕関節は関節窩が浅いので可動性は大きいが安定性は乏しく、外転運動では肩甲上腕リズムの考慮、上腕上方関節(第二肩関節)の機能を十分理解しておくことも重要。

肘関節

肘伸展位では上腕と前腕が運搬角をなし、正常でも肘過伸展は若干認められる。

前腕

肘を90°屈曲した状態で前腕の回内・外の運動を分離でき、尺骨と橈骨間に張る骨間膜は中間位で緊張。

手関節

頭骨手根関節と手根中央関節が手の運動に関係し、ROMは尺屈〉撓屈、掌屈=背屈。

手・指

母子・・・屈曲・伸展、内・外転・軸回旋可、対立運動が重要。

手指・・・MP関節は靭帯の付着で屈曲位で内外転制限。

股関節

骨盤-骨椎の動きが股の動きと関連している点を考慮し、屈曲・内転・外旋の組み合わせは特に股関節の不安定性をきたしやすい。

回旋ROMは肢位のとり方で変化しやすい。

膝関節

安定性と可動性という相反した機能を強いられ、したがってストレスや過酷な活動に対処して働き障害されやすい。

関節運動ではすべりと転がり運動が生じ、屈曲位での脛骨回旋が可、また膝蓋骨の動きも重要。

足関節

距腿関節で底・背屈が可能で、これは距骨滑車の形態により、底屈ROM〉背屈ROM。

運動軸は前額面お平行にないので足は通常tou-outをとる。

足部

ショパール関節も関係し距骨下関節で内・外がえしが可能。

内がえし

・・・底屈・内転・回外。

外がえし

・・・背屈・外転・回内。

頚椎

環椎後頭関節は屈伸運動を主に、環軸関節は全頚椎の回旋の約半分が行われる。

屈曲・伸展ROM50~60°、側屈50°、成人下部頚椎にはルシュカ関節を認める。

胸腰椎

腰椎は椎間関節の方向により屈曲・伸展運動が主で、胸椎では棘突起により伸展が制限される。

腰椎の動きの70~75%はL5-S1間で生じる。

 

※運動量がオーバードーゼ(運動過剰)にならないように、運動後の関節痛の増加が2~3時間で運動前に戻るくらいを目安とするなどの配慮が必要になります。

 

関節可動域障害に対する的確な理学療法アプローチを実施するには、正常な関節構造、運動学や結合織を中心とする病態生理、それぞれの疾患の障害学を基礎として行うことになります。

引用・索引 理学療法概論

リコンディショニング時の関節可動域制限への物理療法(温熱・超音波)の生理学的効果

2014.03.22 | Category: アスレティックリハビリテーション

リコンディショニング時のROM制限への物理療法

物理療法

関節可動域制限への物理療法の効果

 

可動域制限に対しての伸張運動(stretch exercise)の実施前に温熱療法が施行されます。

 

Lehmannは生理学的効果を実証するためにラットの尾を用いて種々の温度下における伸長力との関係を調べ、25℃の温度にてラットの腱の伸張率は約15%になったと述べています(これは臨床上効果の期待できる伸張率約1.5%の10倍に達する)。

 

腱・関節包への超音波療法

 

Gerstenは超音波の腱・関節包などの線維結合織はその伸張性を増大していると述べ、温熱作用が線維蛋白の性質を変化させることに働いたのであろうと説明しています。

 

一方、WolpersやGrossらは超音波照射にてコラーゲン線維の結合が妨げられたと報告しています。

 

超音波の生理学的効果

 

臨床的に使用される超音波は0.8~1MCのもので物理療法の中で最も深く熱を到達出来るものとされています。

 

1MCの波長の超音波では皮膚表面の約半分のエネルギーが5cmの深部まで及び、10cmの深さでは約1/4のエネルギー量が到達するとされています。

 

超音波は組織のインピーダンスにより、異なる組織境界面でのエネルギー反射散乱が熱エネルギーへと転換されやすい性質を持っており、特に骨は超音波エネルギーの約30%が反射するため骨と隣接する筋組織での熱産生は著名で、線維肥厚組織や瘢痕組織においてとくにすぐれていると言われています(温熱効果に加え機械的効果もあるため)。

 

超音波を直接患部に照射しないで疼痛関連脊髄根部に照射する方法も、自律神経系に対する超音波の効果を活かした方法もあり、また、薬物を超音波エネルギーにより皮内に浸透させる効果もあります。

 

※一方、温熱作用が関節内温度の上昇に伴い、ヒアルロン酸などの代謝が著名に増加したり、膝関節内温度が33~36℃に上昇すると軟骨の破壊が4倍に増加するなどの報告もありますが、超音波ほど適用性の広い、かつ未知の面を秘めた物理療法は無いと言えます。

引用・索引 理学療法概論

アイシング(cryo therapy)冷に対する痛みの軽減効果の生理学的反応

2014.03.21 | Category: アスレティックリハビリテーション

アイシングの痛みの軽減効果の生理学的反応

アイシング

冷に対する生理的反応

冷刺激を与えた時の組織反応は、その「温度刺激」「時間」「変化」という三大要素に左右され、温度刺激の三要素と言われます。

 

また、刺激を受ける組織細胞の種類、すなわちその新陳代謝の高さにも関係し、組織温度が変化するとその化学反応の速度も変化します。

 

一般に10℃の温度上昇で組織の化学反応速度は約2倍と言われ、これをvan`t Hoffの法則(Q10の法則)と言います。

 

※変性した細胞(温度調整を欠く細胞)ではQ10は14~18倍になります。

 

一般に生体の温冷にたいする生理的適応範囲は10~40℃で35℃付近を境として皮膚血管は拡張あるいは収縮を行い、体核温度調整に貢献してます。

 

急性外傷とRICE(コールドスプレーは筋スパズムや筋・筋膜トリガーポイントなど神経終末には作用は認められるが、深部組織への効果はないとされる)

(さらに…)

MMTや筋力トレーニングでの等張性筋収縮と疑似等尺性運動とは

2014.03.20 | Category: アスレティックリハビリテーション

MMTや筋力トレーニングでの等尺性収縮

等張性筋力トレーニング(isotonic exercise)

水の入ったバケツを床から台の上に持ち上げようとする時、上腕二頭筋は等張性筋収縮を行ないます。

 

等張性筋収縮とは関節運動を伴いますが、負荷は一定のものであることが条件になります。

 

リハビリテーションで用いられる等張性筋収縮

運動療法で最も多く多用される等張性筋収縮は、座位での膝関節伸展運動(大腿四頭筋強化)になります。

 

この肢位での、1RM(repetition maximum、運動を反復できる最大負荷)は膝関節完全伸展位で決まります。

 

ところが、膝関節屈曲45°や60°、75°という位置では、まだまだ筋力に余力があるということになります。

 

したがって、膝関節伸展運動での負荷はより伸展位になればなるほどover loadとして十分な量かもしれませんが、よりトルクの発揮しやすい屈曲位では相対的に低く、楽な負荷量になります。

 

上記の条件があることで、ウェイトトレーニングマシンでは楕円形や巻貝のようなカムを利用し、各関節角度で至適なover loadを得られるようになっています。

 

中1/3の原理

膝関節伸展のように関節運動の中間域でトルクが発生しやすいことを、「中1/3の原理」と呼称しています。

 

MMTや徒手的な筋力トレーニングで運動のスタート時と終了時の運動範囲では抵抗力を小さくして関節に運動速度を与え、中央域の角度範囲では強い抵抗を加えて、同じく関節の運動速度を調節していきます。

 

※等尺性筋収縮ではトレーニングした関節角度だけで効果がありますが、これを補償するために考案された「疑似等尺性運動」があります。

 

これは、関節運動をゼロにするのではなく極めて遅い速度、例えば3~10°/秒の速度で行い、そうすると筋収縮時間は長くしたまま関節可動域のあらゆる角度を通過していくという利点が得られます(疑似等尺性運動は等張性筋収取に他なりません)。

引用・索引 運動療法ガイド

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痛みに対する物理療法の神経系へのアプローチ・門制御理論(gate control therapy)

2014.03.19 | Category: アスレティックリハビリテーション

痛みの解剖生理学的基礎

痛み

皮膚の構造とその性質

皮膚は感覚、吸収、分泌、身体保護、それに体温調節などに関係する身体体壁をつくる重要な組織です。

 

身体の血液(その約25%は毛細血管中に存在)その多くは皮膚及び、皮下組織にあり、皮膚を介して与えられる温・冷エネルギーは、その血行動態に影響を及ぼしやすく、逆にその血行動態が温・冷の効果を左右すると考えられています。

 

また、成人ではほぼその体重の60%が血液を含む水分よりなり、この相対的量も温・冷を始めとする物理エネルギーの人体への作用効果に影響を及ぼしています。

 

血液循環

皮膚内の血液循環は皮膚組織の栄養供給を行うとともに、皮膚より熱伝導に深いかかわり合いを持っています。

 

皮膚組織中の含水量および電解質量は皮膚の電気抵抗を決める重要な因子であり、これは皮膚温と反比例の関係にあり、7度の温度上昇で基電圧として10Vの低下をきたすと言われています。

 

皮膚には温・冷刺激に対して感応する温点、冷点と呼ばれる感覚点があり、これらの受容器は一定の温度下で興奮し、その感覚を中枢へと伝えます。

 

※温冷刺激の中でその温度範囲が体温と同一範囲にあるものは暖かく冷たくも感じず、これを不感温度といい、これ以下の温度刺激では冷たく、これ以上では暖かく感じますが、これも限界に達すると侵害刺激となり痛みが生じます。

 

門制御理論(gate control therapy)

MelzackとWallは1965年に脊髄後角中の膠様質の細胞の動きに着目し、門制御理論を提唱しました。

 

これは、後根から入る痛み関係するような細い線維は後角細胞(T)と膠様質の細胞(SG)に連絡し、Tに促通、SGに抑制的に働きます。

 

一方、触覚などに関係するような太い線維は両方に促通的に働き、SGはTでシナプス前抑制を行っています。

 

両者の線維の相互干渉でTの発射様式が決まり、Tの発射がある一定の強さ以上になるとそれは、痛みとして感じられ、これは中枢からのコントロールを受けています。

※これは痛みに対する物理療法の効果を説明するのに非常に重要な理論です。

引用・索引 理学療法概論

筋の持続性収縮と虚血性収縮の生理学的メカニズム

2014.03.18 | Category: アスレティックリハビリテーション

筋肉の持続収縮と虚血性収縮のメカニズム

筋持続収縮

筋の痛みと筋スパズム

筋が持続的に収縮を強いられると、その結果として、その結果として筋スパズム(muscle spasm)を限局して起こしやすく、このスパズムは痛みを増悪させ、その結果スパズムが強くなるという具合に、痛み-筋スパズムの悪循環(スパズムループ)を作るようになります。

 

筋スパズムは筋の伸展性の減少や関節可動域制限をきたすこととなり、浮腫や炎症状態など、新陳代謝の異常とからみあい移行し、線維化反応、機能障害へと変化していきます。

 

二次的に、身体外傷を始めとして、多くの因子が疼痛反応を生じ、筋スパズムとの間に頑固な連結を作ります。

 

発痛物質

Lewisは前腕血流を阻止し、虚血状態のもとで筋収縮を繰り返させた場合、筋虚血が筋の痛みを引き起こす重要な因子であることを示しました。

 

痛みを生じるのは、筋収縮の結果蓄積させれる代謝産物あるいは化学物質であると結論づけ、この発痛物質を因子P(factor P)と言います。

 

発痛物質として現在知られているのはコリン系作用物質のほか、アミン、アルカロイド、酸、アルカリ、K+、ヒスタミンなどがあります。

 

※血流停止という物理的現象と、筋収縮に伴う化学変化が発痛物質の遊出や産生を高め、一方ではこの物質を破壊する酵素の活動低下や血流を介する除去が十分行われなくなり、局所的なアシドーシスによって痛覚受容器の興奮性が高まることも指摘されています。

引用・索引 理学療法概論

痛みと自由神経終末・温冷覚の病態生理

2014.03.17 | Category: アスレティックリハビリテーション

痛みの病態生理

痛みの受容器

痛みの性質とその特徴

痛み(pain)は生体に対する侵害刺激を警告する役割を果たしており、痛覚受容器を侵害受容器と呼びます。

 

痛みの痛覚は鋭く、局在性のかなり明確なものと、鈍く、局在性のあまり明確でないものの2種類におおよそ分けることができます。

 

前者を鋭痛、第一痛といい、後者を鈍痛、第二痛といい、内部痛や筋・関節の痛みは後者のほうで、深部痛(Deep pain)とも言います。

 

ちなみに痛覚の知覚神経線維には有髄線維のAδ線維、無髄線維のC線維が関係しています。

 

皮膚の痛み(表在痛)の受容

皮膚には、痛点と呼ばれる感覚点が多数存在しています。

 

これは、数本の神経線維が集まり網目状になったもので、その神経終末は、自由神経終末(free never ending)と言われ、鋭覚と鈍痛という2つの異なる痛みを感じるのは、この自由神経終末をつくる神経線維の性質の違いによります。

 

痛点は真皮と表皮の境界部にとくに密に存在し、全身総数で200~400万と言われ、手背には1m㎡に1.3個存在しています。

 

痛みの受容器としては自由神経終末がメインになりますが、生理的範囲を超えても他の皮膚感覚点、とくに温・冷覚点が刺激されても、痛みを誘発する(例えば、皮膚に45度以上の温度刺激が与えられると痛みが生じ、皮膚に加えられると痛みが生じる場合、皮膚に加えられる生理的限界が45度を示す)こともあります。

 

※痛みは干渉性が強く身体の2箇所に痛みがある場合、強いほうが弱いほうを軽減することは良く知られています。また、痛みに対する注意の集中や心構え、また、暗示などで痛みそのものの強さも変化します。

引用・索引 理学療法概論

 

ギプス固定による廃用性筋萎縮の神経系と生理学的メカニズム

2014.03.16 | Category: アスレティックリハビリテーション

ギプス固定による廃用性疾患のメカニズム

ギプス固定

廃用性筋萎縮の特徴とその発生機序

脱神経と異なりギプス固定による廃用性筋萎縮は脱神経筋のようなアセチルコリン感受性の亢進や筋収縮反応などの変化は見られません。

 

Gutmannら研究者はグリコーゲン合成の増強が神経支配の存在と深く関係していることを報告しています。

 

脱神経筋ではこのようなことが無いこと、廃用性筋萎縮が筋の収縮活動に対して酵素適応に関係しているとも言われています。

 

ギプス固定による筋の萎縮

Maierはギプス固定により、FT線維(速筋)とST線維(遅筋)では生じる筋萎縮に有意差が起こるかという実験にて、「FT線維よりST線維の萎縮が著名とされています。

 

これは、下肢関節固定により、ヒラメ筋中のFT線維の占める割合が増加したと述べています。

 

また、ギプス固定により筋漿蛋白より筋原線維の現象が大きいことなどより、筋萎縮の様相は、筋を神経するMU(運動単位)のレベルで見るとそれが相同性か緊張性かでことなるものと考えたほうが良いです。

引用・索引 理学療法概論

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