スポーツ選手の食事内容とタイミング(疲労回復を促進するための食事として、運動後30分以内に高炭水化物を摂ることが望ましい)
スポーツ栄養学では、食事の内容もさることながら、摂取するタイミングについての重要性が指摘されています。
これは、アメリカで行われた研究で、運動後のグルコース摂取と筋内のグリコーゲンの状態を調べたものになります。
筋肉内のグリコーゲンの回復状態は、いわゆる疲労回復の状態を反映します。
運動によって低下したグリコーゲンレベルが回復していれば、次に運動するときにより大きな筋出力を長い時間にわたって発揮することができるからです。
研究では、食事の内容として炭水化物を多く含んだもの、タイミングとして運動後2時間経ってから摂取した場合はグリコーゲンの回復具合は思わしくありません。
この研究結果をもとに、疲労回復を促進するための食事としては、運動後なるべく早めに、できれば、30分以内に高炭水化物を摂ることが望ましいといわれるようになりました。
実際の摂取タイミング
実際のスポーツ選手の食生活を考えてみると、合宿生活がこの理論を最も当てはめやすいことがわかります。
練習場が隣接している合宿所であれば、練習後、シャワーを浴びて、すぐに食卓につくことが可能であり、30分以内の食事は比較的簡単に実現します。
※強いチームが例外なく合宿生活をしていたりすることは栄養学的にも理にかなうということになります。
合宿生活には、食後の休養も取りやすい環境になり、トレーニング・栄養・休養の3要素がすべて隣接した中で過不足なくとれるのは環境として申し分ありません。
ところが、現実を考えると、年間を通して合宿生活ができる選手は限られています。
むしろ、大半の選手は練習後30分以内に食卓につくことは難しく、通学時間の長い高校生や大学生はなおさらです。
その場合は、部活動の練習後、軽めに炭水化物で小腹を満たすことが推奨され、おにぎりを1~2個、あるいはバナナを1~2本食べ、そして帰宅後に筋肉の材料となるタンパク質を十分に含む夕食を摂るようにします。
こうすれば、たとえ通学に2時間かかったとしても、疲労回復に不利な条件を緩和することができます。
おにぎりやバナナが難しいようであれば、飴や炭水化物の入ったスポーツドリンクでもかまいません。
筋肉の種類と構造(骨格筋は骨に付着し身体を動かす、心筋は血液ポンプとして作用する、平滑筋は内臓や血管を形作り、消化機能や血液の運搬を補助する)
引用・索引 勝ちに行くスポーツ生理学