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プル動作時のバーベルの最大速度はクリーンよりもスナッチのほうが約10~20%大きい(ジャーク175.2cm/s、クリーン166.6cm/s、スナッチ196.2cm/s)
スナッチの動作スピード
エクササイズの種類に加えて、トレーニングに導入する必要のあるもうひとつのバリエーションとしては動作スピードがあげられます。
動作スピードが変化すると、トレーニング中に動員される筋線維も変化します。
クリーンはウェイトリフティング競技以外のアスリートのトレーニングプログラムにおいて、最もよく実施されるウェイトリフティング動作になりますが、クリーンと比較してスナッチにはバーの速度が速いという利点があります。
スプリットオルタネイティングフットスナッチのもうひとつの利点(筋は神経情報の入力によってコントロールされており、新たなエクササイズを導入すると、中枢神経系によって新たな筋の動員パターンが確立される)
Garhammerの研究
Garhammerは1984年のオリンピックの金メダリスト5名のパフォーマンスについて、クリーン、ジャーク、スナッチのバーの速度を比較した結果、これらの3つのリフトの平均バー速度は、ジャークが175.2cm/s、クリーンが166.6cm/s、スナッチが196.2cm/sでした。
Garhammerの研究によって、プル動作時のバーベルの最大速度はクリーンよりもスナッチのほうが約10~20%大きいことがわかりました。
スプリットオルタネイティングフットスナッチの効果(スナッチではクリーンよりも軽いウェイトが利用されるにもかかわらず、発揮パワーが同等であるのは、スナッチのほうがバーの速度が速いことが挙げられる)
パワーの最大化に3つのアプローチ
トレーニングの目標が発揮パワーの増加であり場合、パワーの最大化に効果的であると考えられるアプローチは3つあります。
第1のアプローチ
第1のアプローチは、パワー発揮能力の向上には、強度を下げる(最大挙上重量1RMの50%未満)ことが最適であるという考えになります。
重い負荷よりも軽い負荷のほうが速く動かせるために、このように強度を下げることによって、高速でトレーニングを行うことが可能になります。
第2のアプローチ
対照的に第2のアプローチは、パワーを向上させるためには重い負荷(>50~70%1RM)が必要であるという考えになります。
しかし、重い負荷を利用すると、低速でトレーニングを行うことになります。
第3のアプローチ
第3のアプローチは、2つの方法をミックスして実施することが最善であるという考えになります。
つまり混合アプローチを採用することで、発揮パワーを最大化することが可能になると考えられ、ここにスナッチを行う利点があり、なぜならば、すでに述べているようにスナッチでは、クリーンよりも速い速度で行うことが可能だからです。
Haff&Nimphiusのレビューによって指摘されているように、発揮パワーの最大化を目指す場合、筋力の向上のみ、あるいはパワーの向上のみに焦点を絞ることは最善のアプローチではないとされています。
発揮パワーの最大化
発揮パワーの最大化には、混合アプローチが推奨されています。
混合アプローチは、発揮パワーの最大化とトレーニング効果の転移の至適化において、最大の効果をもたらします。
なぜならば、様々な動作スピードによるトレーニングを可能にするからです。
パワーの向上にはクリーン、スナッチが利用され、そしてどちらも他の伝統的なエクササイズよりも高速で実施されますが、クリーンよりもスナッチのほうが高速でトレーニングする機会となります。
したがって、非常に幅広い動作スピードによるトレーニングが可能になり、トレーニング目標が発揮パワーの最大化である場合、このようなアプローチは大きな利点をもたらすとされています。
SAFSを指導する際は、テクニックの適切さを重視し、エクササイズを漸進することが重要になります(オーバーヘッドスクワット→スナッチバランス→ハングパワースナッチ→パワースナッチ→ハングSAFS)。
そして適切なテクニックを習得するまでは次のエクササイズへ進んではなりません。
スプリットオルタネイティングフットスナッチの利点(アスリートに様々な姿勢における両側性の筋力、バランス、パワーを教えるエクササイズになる)
引用・索引Waller M.Townsend R.Gattone M.Application of the power snatch for athletic conditioning.Strength Cond J29:10-20.2007