Blog記事一覧 > 2015 5月の記事一覧
運動パフォーマンスに関与する栄養
グリコーゲンは、長時間にわたる中強度から高強度の運動中の主要なエネルギー源になります。
さらに、筋肉内の筋グリコーゲンの枯渇は疲労に直接関係し、パフォーマンスに影響を及ぼします。
したがって、あらゆるレベルのアスリートにとって、筋グリコーゲンの補給は、回復時間を早め、最高のパフォーマンスを維持するために非常に重要になります。
神経筋系トレーニングと傷害予防
一般に神経筋トレーニングは、ストレングストレーニング、バランストレーニング、プライオメトリックトレーニング、固有受容性トレーニング、さらにコアの強化トレーニングや関節の動的安定トレーニングを統合するものになります。
そのようなトレーニングが女子アスリート(特にバスケットボール、サッカー)において、着地中の膝関節の屈曲角を増大させ、膝関節の屈曲モーメントと外反モーメントを減少させ、さらに膝関節の最大外反角を減少させることが示されています。
神経筋トレーニング(γ運動神経機械受容器の閾値を下げることにより、主動筋組織の感度を高め、予測できない力に素早く反応できるようになる)
スピードとは
スピードは、ストライド頻度×ストライド長を定義されます。
そして、スピードパフォーマンスを向上させるには、この2つの変数のうちどちらか1つ、または両方を向上させる必要があります。
スピード向上におけるストライド長とストライド頻度(速いスプリンターは、短い接地時間で鉛直方向の大きな床反力を生み出している)
運動とは
運動とは、骨格系、特に関節に作用する筋の力が、トルクやモーメントを生み出して、回旋、ひねり、曲げなどの動作として現れたものになります。
これらの動作は、筋が受ける刺激の強さと筋における力発揮の大きさによって左右され、筋によって生み出される力の最大量がその筋の筋力であり、筋力はトレーニングによって変わります。
筋力/加速度トレーニングの概念(ニュートン第二法則:加えた力が物体を加速させる為、力(F)は質量(m)×加速度(a)に等しい)
異化と同化
激しいエクササイズを行った後、身体は主に”異化状態”にあり、それは、コルチゾールなどのストレスホルモンの濃度が上昇し、筋グリコーゲンなどの主要燃料の貯蔵量が低下、時には枯渇します。
回復と有益な適応を至適速度で生じさせるためには、この異化状態を”同化状態”へと変化させなければなりません。
このような変化を引き起こすためには、運動後の適切な栄養摂取を、適切なタイミングで行うことが非常に重要になります。
※同化過程は、器官や組織を「組み立てる」方向に働く。
運動による筋肥大経路(機械的刺激が標的細胞に形質導入し分解よりも合成に有利に働くよう筋タンパク同化シグナル伝達経路を刺激する)
前十字靭帯(ACL)障害予防のためのプログラムとして
コア(体幹)の強化、関節の安定、バランストレーニング、ジャンプトレーニングに重点を置く神経筋系のトレーニング介入によって、膝関節の外反・内反モーメントや過伸展などの着地時の誤った姿勢を修正、改善できることが研究によって示されています。
また、ウォールジャンプやタックジャンプなどのジャンプドリルを含むプライオメトリックトレーニングも、不適切な筋の活性化を修正し、着地時にかかる力を減少させ、膝関節の外反モーメントと回旋を減らし、ハムストリングの筋力を増加させることを目的として、ACLの障害予防プログラムにおいて効果的とされています。
プライオメトリックトレーニング後には、予備的な筋の共収縮の増大、着地時にかかる力の減少、そしてハムストリングのトルクの増大が観察されています。
前十字靭帯(ACL)損傷と女性選手(解剖学的因子:顆間切痕幅と膝関節の弛緩、ACL伸張強度や月経状態などの成長因子、性ホルモン因子とバイオメカニクス的因子:動作パターン、筋力不均衡、筋活動パターン)
長距離選手と筋力トレーニング
適切な種類の筋力トレーニングプログラムを用いれば、長距離走のパフォーマンスを向上させる可能性があります。
筋力の向上は、力(筋力)とスピードの積である筋パワーの向上をもたらし、運動能力は、その人が発揮し、維持することができる力とパワーの量によって決まります。
力とパワーに影響を及ぼすものは、骨格筋の有酸素的および無酸素的代謝能力のほか、神経-筋コーディネーション、骨格筋の力学およびエネルギー学的要素、および代謝性パワーの機械的パワーへの変換効率になります。
走っているとき、足は地面にほんの一瞬しかつかず、そのような短時間ではとても最大の力発揮はできず、これは、力の立ち上がり速度(RFD)を高めることが重要という事を示しています。
長距離走のパフォーマンス向上のポイント(筋の面積当たりの毛細血管数とミトコンドリア密度を上げ酸素の拡散と利用を促し、1回拍出量と心拍出量を最大限に多くすること)
アスリートの水分補給(糖質とタンパク質の添加)
アスリートの水分補給の場合、水分の補給と再補給には通常、6~8%のブドウ糖-電解質溶液が用いられます。
最近の研究では、この種のスポーツ飲料にごく少量のタンパク質を加えると、水分の補給と再補給(また補給した水分の保持)の効果が高まるだけではなく、筋タンパク質の合成(これは糖質飲料のみでは起こらない)とグリコーゲンの再蓄積を促し、筋損傷マーカーを抑制することが明らかになってきています。
水とその他水分補給手段との違い(ただの水だと利尿が促されるためにナトリウム摂取は血漿浸透圧と口渇感を維持することで水分の再補給プロセスを促す)
(さらに…)
ウェイトコントロールと競技パフォーマンス
スポーツの多くは体重を移動することで成り立っており、体重の増減は競技パフォーマンスを左右します。
特に女性は男性よりも多くの体脂肪を蓄えるようになっていることからウェイトコントロールが重要視される傾向になっています。
しかし、減らしたいのが体脂肪であるのに対して骨格筋を減らしてしまう場合もあり、また発育発達期から成熟期の女性アスリートにおけるウェイトコントロールは生活にも影響を及ぼします。
膝関節の安定(受動的:能動的)
受動的安定:膝関節は骨、半月板、靭帯、そして関節包により受動的に安定しています。
前十字靭帯(ACL)は主として前後方向の移動、内反・外反モーション、内旋・外旋モーションを調節することにより膝関節を安定させています。
能動的安定:能動的に安定させるシステムを構成しているのは筋の収縮であり、これは主として随意的な筋活動により膝関節を安定させています。
前十字靭帯(ACL)損傷と女性選手(解剖学的因子:顆間切痕幅と膝関節の弛緩、ACL伸張強度や月経状態などの成長因子、性ホルモン因子とバイオメカニクス的因子:動作パターン、筋力不均衡、筋活動パターン)
神経筋的側面とバイオメカニクス的側面
前十字靭帯(ACL)、特にピボット、減速、カッティング、ジャンプ、ランディング中に発生するものには、バイオメカニクス的因子と神経筋系因子が関係するとみられています。
第一に、運動中の下肢のアライメントが、ACLを含む膝関節の支持機構にかかる負荷の量に影響を及ぼすと考えられています。
下肢のアライメント不全はACLへの負荷を増し、やがて構造的損傷をもたらすか、あるいは過度の負荷や力を伴う場合は、即座に完全な構造的破壊をもたらす可能性があります。
前十字靭帯(ACL)損傷と女性選手(解剖学的因子:顆間切痕幅と膝関節の弛緩、ACL伸張強度や月経状態などの成長因子、性ホルモン因子とバイオメカニクス的因子:動作パターン、筋力不均衡、筋活動パターン)
前十字靭帯(ACL)断裂の大多数はスポーツ競技を行っている最中に発生しており、特にサッカー、バスケットボール、フットボールなど、ピボットやカッティング(切り返し)動作が頻繁に行われるスポーツに多くみられます。
そしてACL損傷の大多数は他の選手との激しい接触が原因ではなく、減速、加速、踏み込み+カッティング動作、突然の方向転換、ジャンプの着地中などの膝関節に過剰な負荷がかかる動作において発生しています。
水分補給状態の評価
水分補給状態の評価には、少なくとも13種の手法が用いられ、循環機能、生化学反応、体温調節その他の生理過程を媒介します。
また、体水分の代謝回転は、体液と電解質の移動によって水分が失われることで起こるほか、肺や皮膚、腎臓からの水分喪失によっても生じます。
さらには、加齢も水分の必要摂取量に影響を及ぼします(水分は、飲料だけではなく食事からも摂取される)。
水とその他水分補給手段との違い(ただの水だと利尿が促されるためにナトリウム摂取は血漿浸透圧と口渇感を維持することで水分の再補給プロセスを促す)

Jun 14, 2013; New York, NY, USA; Chicago Cubs center fielder David DeJesus (9) walks off the field after running into the wall chasing a triple by New York Mets center fielder Juan Lagares (not pictured) during the third inning of a game at Citi Field. Mandatory Credit: Brad Penner-USA TODAY Sports
ピッチングメカニクスの観察
ピッチングメカニクスの観察(投手が身体を向けている側の)側方および投手の前方から行います。
側方
側方から観察される重要な特徴は、「手をボールの真上に置く」こと、「腕を投球位置まで挙上する」ことになります。
前方
前方から観察される重要な特徴は、「股関節を先行させる」こと、「前肩を閉じる」こと、および、「踏み出し足をホームプレートへ向けて接地させる」ことになります。
野球肘とピッチングメカニクス(若年野球投手の肘内側に加わる力は最大64.6Nに達し、肘外反ピークトルクは肩関節が最大外旋する直前に最大になる)
ファンクショナルムーブメントスクリーン(FMS)と障害予防
FMSはスポーツ障害の予測因子であることは研究によって明らかになっており、野球肘(リトルリーグ肘:LLE)のりクスを抱える若年野球選手の特定に役立つ可能性があります
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テスト名 | 目的 |
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ディープスクワット | 股関節、膝関節、足関節、肩関節、および胸椎の両側、対称、および機能的可動性を評価する |
ハードルステップ | 股関節、膝関節、および足関節の両側の機能的可動性と安定性を評価する |
インラインランジ | 股関節の可動性と安定性、大腿四頭筋の柔軟性、および足関節と膝関節の安定性を評価する |
ショルダーモビリティ | 内旋と内転、および外旋と外転を組み合わせて肩関節の両側の可動域を評価する |
アクティブ・ストレート・レッグレイズ | 骨盤を安定させ、反対側の脚を能動的に伸展させた状態でのハムストリングスと腓腹筋-ヒラメ筋の動的柔軟性を評価する |
トランクスタビリティ・プッシュアップ | 上肢の対称動作中における矢状面での体幹の安定性を評価する |
ロータリースタビリティ | 上肢と下肢の動作中における多方面での体幹の安定性を評価する |