Blog記事一覧 > 2015 11月の記事一覧
人工関節置換術(関節形成術)
人工関節置換術(関節形成術)は保存療法では施術できない股関節の痛みや障害を抱えるお客のための主流な外科的介入方法になります。
股関節形成術(HA:Hip Arthroplasty)を受けたクライアントの術後管理は、後発性合併症と後遺症の可能性を考えリハビリテーション後の安全で効果的なエクササイズプログラムを作成するためには、手術法や注意事項、リハビリテーションの原則および後遺症などに関する理解が必要になります。
関節置換術(関節形成術)はアメリカ整形外科学会によると、アメリカでは2008年に23万件の股関節形成術が行われ、最新の人工関節置換術は成功率が高く、現代の人工関節の寿命が長くなっているために、手術件数は2030年までに年間57万2,000件に増加すると予測されています。
膝関節置換術後の機能的転帰に影響を及ぼす因子(機能的動作性の低下、大腿四頭筋の筋力低下、および術肢による伸展筋力の発揮能力の欠如が残るというデメリットがある)
肩甲上腕関節と肩甲骨
肩甲上腕関節(GHJ)と肩甲骨の一連の動きをタイミングよくバランスよく行うには、筋の協調的な行動と機能的安定性を獲得するためのバランスが必要になります。
Coolsらは臨床現場において肩甲胸郭(SCT)関節とGHJのリハビリテーションに用いられる12種目のエクササイズを調べた結果、以下の4つがSCT関節のバランス維持に役立つを結論付けました。
- 側臥位での外旋
- 側臥位での屈曲
- 伏臥位での外旋
- 伏臥位での伸展
伏臥位での伸展、側臥位での外旋、およびTレイズにおいては、先に僧帽筋中部線維と下部線維が活動し、次いで三角筋後部と僧帽筋上部線維が活動することが明らかになっています。
僧帽筋のこられの部分が活動すると、GHJの自動運動において肩甲骨が安定化されます。
肩甲胸郭関節の安定化の重要性(ローテーターカフと肩甲胸郭関節安定筋群の両方が疲労、筋力不足が存在すると、上腕骨頭を安定させる棘上筋の機能に悪影響を及ぼし、肩甲上腕リズムに変化が生じる)
腰椎の屈曲のバイオメカニクス
脊椎のバイオメカニクスとその椎間板の病理への影響を説明するために、動物や人のin vivo(生体内)試験やin vitro(生体外・ガラス器内)試験、さらにコンピューターを利用したシミュレーションモデルなど様々な研究が行われてきました。
特にin vitro研究では、反復的な腰椎の屈曲が、椎間板ヘルニアの形成(繊維輪膜の境界の外へ椎間板の一部が突出する)と脱出(繊維輪を突き抜けて髄核が膨れる)の主要なメカニズムとみなされています。
その理由は、髄核が内側から繊維輪の最も弱い部分である後部外側へ向かって脱出するにつれて、病態が悪化することを示すエビデンスがあるためです。
プライオメトリックトレーニングの導入
ベアフットランニングの接地では膝関節と足関節による衝撃負荷の制御がより重要になるため、下肢にその運動の準備をさせるために、下肢のプライオメトリックエクササイズをトレーニングプログラムに組み込むべきとされています。
しかし、伸張性トレーニングを開始する前に、下肢遠位の安定性を与えるために近位の体幹部と股関節の筋群を十分に強化する必要があります。
ベアフットランニングにおける足内在筋の強化エクササイズ(母趾外転筋は最も内側に存在する最大の足内在筋になり、活動時にアーチ高を増大させ回内の制御を助ける)
水中レジスタンストレーニングの有効性
Valtonenらは、ランダム化対照試験によって、手術後4~18ヶ月の男女の筋パワー、筋横断面積および動作性に対して、水中レジスタンストレーニングが及ぼす影響を調査しました。
第1群にはトレーニングを全く処方せず、第2群には12週間にわたってプールでのレジスタンプログラムを処方しました。
ふたつの時限性の動作テストを用い、膝伸筋と屈筋のパワーを評価するとともに、主観的苦痛、膝関節のスティフネス、および身体機能も評価しましたが、主観的な痛み、膝関節のスティフネスおよび身体機能に関しては両群ともに差異は認められませんでした。
しかし、水中プログラムによる実験群は対照群と比較すると、ふたつの時限性動作テストにおいて有意に速くなり、驚くべきことは、介入終了後に術肢において、膝伸筋と屈筋のパワーがそれぞれ32%、48%増加したことです。
水を抵抗とする水中エクササイズプログラムは、膝関節置換術(TKR)を受けたお客のリハビリテーションに利用可能なもうひとつの戦略であると考えられています。
膝関節置換術後の機能的転帰に影響を及ぼす因子(機能的動作性の低下、大腿四頭筋の筋力低下、および術肢による伸展筋力の発揮能力の欠如が残るというデメリットがある)
ローテーターカフトレーニングの重要性
ローテーターカフ筋群(特に肩甲下筋、棘下筋、および小円筋)は、上腕骨を安定させ、三角筋と棘上筋の外転を可能にすることにより、肩甲上腕関節(GHJ)の効率的な動作に必要な偶力を生み出します。
同様に、肩甲骨を安定させるための偶力は、僧帽筋上部と下部が、菱形筋および前鋸筋(SA)と共同で働くことによって生じます。
これらの筋がすべて順番に発火する理想的な状況下においては、肩甲胸郭(SCT)関節とGHJの正常なバイオメカニクスが存在し、これを肩甲上腕リズムといい、肩甲骨を回旋させながら、肩を屈曲、外転、および挙上させる際に生じます。
投げる、漕ぐ、パドリングなどの競技における競技テクニックに必要な可動域を獲得するためには、2つの関節がスムーズに同期して働かなければなりません。
ローテーターカフの疾患(肩甲骨外転を伴う肩甲上腕関節の最大外旋位は上後部における棘下筋と棘上筋の圧迫により内部インピンジメントを引き起こす)
低エネルギー供給率が身体に与える影響
エネルギーの不足により、視床下部からゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出ホルモン(GnRH)の分泌が抑制されると考えられています。
通常、GnRHは、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモンの分泌を誘発します。
GnRHが抑制されると、LHの正常な血中濃度が撹乱(GnRHが抑制されると、LHの卵胞刺激ホルモンの分泌を誘発する)され、卵巣によるエストロゲンとプロゲステロンの分泌が抑制されます。
また、低エネルギー供給率は、レプチン(脂肪細胞から分泌される、正常な月経を維持するために必要なホルモン)の分泌を減少させる可能性もあります。
女性アスリートとウェイトコントロール(オーバートレーニングなどのストレスが大脳辺縁系-視床下部を介して、女性の内分泌に影響を及ぼし過食や拒食を生じる)
腰部疾患と体幹(コア)
米国人の約80%が腰痛に悩まされているという報告があり、腰部の障害に伴う痛みが身体に障害を引き起こし、身体機能に影響を及ぼすこともあります。
アスリートが腰痛で6~8週間以上も試合に出られなくなれば、本人だけではなく、チーム成績にも多大な影響を及ぼします。
腰部障害のリスクを減らすために、スポーツ医学の専門家らは、体幹(コア)の障害を特定する目的で、シーズン前にアスリートの機能的テストを行うことを推奨しています。
これにより、矯正しなければ、腰部障害につながる筋の脆弱性や機能不全の運動パターンを特定することができます。
足内在筋強化の重要性
習慣的に靴を履いて走っている場合は足内在筋が明らかに弱体化しているため、内在筋の強化が移行プログラムの重要な構成要素になります。
足の内在筋の強化にはタオルカール、ピックアップオブジェクト、片脚バランス運動、ショートフットエクササイズなどの伝統的なエクササイズが利用されています。
足底の感度適応の重要性(足底面には感覚受容器が密集しているためにベアフット運動を増やすことによる感度適応が、ベアフットランニングプログラムへの移行の最初の要素になる)
膝関節置換術後に機能的因子に影響を及ぼす存在
機能的因子に影響を及ぼす可能性のある因子として術前お客特性や特徴が複数存在します。
諸研究の報告によると、手術の前に高齢に達していること、女性であること、併存疾患が多いこと、そして体格指数(BMI)が高いことが、機能的転帰と負の相関関係を有する因子とされています。
膝関節置換術(TKR)後の身体機能に影響を及ぼす可能性のある因子としては、手術のタイミング、すなわち「手術を受けるまでの待機期間の長さ」と術前症状の重さがあります。
処置による機能的転帰に関する差異(単顆膝関節置換術と片側膝関節置換術では非術脚に対して患側の大腿四頭筋の筋力低下の改善が重要になる)
椎間板
椎間板は隣接する椎骨との間に軟骨性連結を形成し、椎骨同士が互いに固定することによって脊椎の運動を促進し、椎骨への衝撃を吸収する働きがあります。
椎間板は明確に異なる3つの部分からなり、外層の線維輪、中央の髄核、そして2つの硝子軟骨終板で構成され、内側と外側に分かれた多層構造の線維輪は、主にⅠ型とⅡ型のコラーゲンで形成されています。
線維輪は張力またはフープ応力ともいわれる外向きの力に抵抗し、運動中の長軸方向の圧縮に対し椎骨を安定化させる働きを担います。
また、線維輪はゼリー状の髄核を包み込む働きもあり、髄核は、軟骨細胞のコンドロイチン、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどの混合体で、プロテオグリカンは、グルコサミノグリカン(GAG)を豊富に含むことにより圧縮負荷に抵抗する役割を担っており、GAGは親水性で、水と結びつくことにより浸透圧を提供する長枝多糖類になります。
肩関節不安定性とは
肩の不安定性とは、「上腕骨頭を関節窩の中央に維持できないこと」と定義できます。
したがって、肩前部(肩甲上腕関節)の不安定性とは、関節窩に対する上腕骨頭の過剰な前方移動(動き)と定義されます。
前部不安定性の原因は多岐にわたり、単独または複合的に存在する数多くの因子が考えられ、例えば、外旋による傷害、筋のアンバランス、関節の位置を維持する軟部組織(靭帯と関節包)の恒久的な伸張などが原因になります。
肩関節複合体が前部不安定性を起こす原因のひとつは、一般的にウェイトトレーニング(WT)エクササイズ実施中に要求される、肩にとって望ましくない姿勢にあり、特に外転外旋を行う「ハイファイブ」の姿勢は肩関節包前部に負荷を与えるために、肩前部の過弛緩(過剰な動き)を引き起こし、不安定性をもたらす可能性があります。
ビハインドザネックミリタリープレス、ダンベルプレス、ある種の座位のトレーニングマシンを利用したペクトラルフライ、バックスクワット、およびビハインドザネックプルダウンなどの一般的なエクササイズにおいては、ハイファイブの姿勢を取ることが要求され、胸部のストレッチングエクササイズの中にも肩関節包前部に、過弛緩と前部不安定性をもたらす負荷を与えるものがあります。
ローテーターカフの疾患(肩甲骨外転を伴う肩甲上腕関節の最大外旋位は上後部における棘下筋と棘上筋の圧迫により内部インピンジメントを引き起こす)
産前産後のエクササイズ推奨基準
産前産後のエクササイズの推奨基準は常に進化を続けており、1985年以前は、成長している胎児に対する配慮から、妊婦は十分に休養し身体活動には参加しないように医師から命じられていましたが、2002年には米国産婦人科学会(ACOG)が、低リスクの妊娠中の女性に対し、ほぼ毎日、1日30分程度の適度なエクササイズを行うことを推奨する、と公式に表明されました。
現在、米国産婦人科学会による産前産後の推奨基準には、医学的、産科的合併症がない場合は、少なくとも週に3回、1回30~40分の定期的なエクササイズ(断続的な活動よりも連続的な活動が望ましい)を行うことが含まれています。
妊娠初期の3ヶ月間(第1期)後は仰臥位でのエクササイズを避けること、特に妊娠後期の3ヶ月は、バランスを崩さないように注意することが望ましいとされています。
また、エクササイズを行う妊婦は、十分な水分補給を行い、適切な服装と最適な環境で運動することにより、熱放散を増大させる必要があります。
妊娠による生理学的、形態的変化の多くは産後も4~6週間続くため、産後も引き続き、これらの推奨基準に従うべきであり、これらのガイドラインは、妊娠中の身体に起こる多くの変化に関する最新のデータが反映されています。
野球における手関節と前腕、手のトレーニング研究
野球のバッティングパフォーマンスに関する補足的なレジスタンストレーニングの効果を明らかにするために、最近、前腕および手のトレーニング研究が実施されました。
野球のバッティング能力に影響を及ぼす因子(バットスイングスピードは体重、除脂肪体重、握力、背筋力との間に有意な相関関係が認められる)
置換術処置の差異
単顆膝関節置換術の転帰に関する研究の大多数は、精度/アライメント、生存、コストの評価に焦点をあてたものになります。
単顆膝関節置換術と片側膝関節置換術(UTKR)の転帰に関する比較に関する比較研究では、実際の身体パフォーマンスではなく主観的転帰に重点を置いて行われてきました。
対照的にUTKRと両膝関節置換術に関しては、機能的回復に研究の焦点が置かれてきました。
膝関節置換術のタイプ(患側の膝を金属、プラスチック、チタン合金などのコンポーネントに置き換える膝関節全置換術(TKR)と単顆膝関節置換術が主となる)